系(0番台初期車)

  〜小山区・沼津区・三鷹区所属車を中心に〜




 115系0番台の中でも比較的数の多かったタイプを模型化しました。

 種車はKATOの115系800番台および115系1000番台で、改造製作は1984(昭和59)年〜2015(平成27)年です。



§1.115系1000番台改造車

 複雑な切継ぎがやたらと多く生みの苦しみを思いっきり味わう115系1000番台改造車グループです。




全車共通の改造

  1.側面の3扉のうち、両端の扉をそれぞれ中心方向に0.5mmずつ移設
  2.屋根は種車の冷房付のものを使用し、冷房を撤去後更地にしてからTOMIXの押込形通風器を配置
  3.窓まわりはGMの113・115系(初期形)の窓を切り取って接合
  4.床下は非冷房モハ114については元のMG撤去後、20kVAMGおよびC-1000形CPを追加 他の車両は時間がなくて1000番台のまま(爆)
  5.サボ受け類はタヴァサ製のものを使用
  6.冷房車は行先幕を新設(クハ115-196を除く)
  7.クハ115-0についてはクハ115-99以降のグループは雨樋は乗務員扉の上まで延長し、最前部の通風器は大型の押込形に変更する


 切継ぎの詳細は401・403系と同様で、弊サイト内<415系赤電>のページをご参照ください(同一ウィンドウで開きます。戻る場合はブラウザの戻るボタンをクリックして下さい)。


窓ガラスはHゴム付きのものはKATO製、アルミサッシはGM製のものを使用しています。
また、座席は外からは見えにくいので、1000番台のままにしてあります。
車両改造に際し参考資料として国鉄電車ガイドブック<新性能電車編>および鉄道ピクトリアル’86-2号(115系特集)を使用しました。



1.非冷房車グループ


115系0番台非冷房車の中でも比較的両数の多いグループで、クハ115は最前部ベンチレータが箱型に変更された1964(昭和39)年度以降のグループが中心です。





 モハ114-11・59・82・98(画像は82)

 パンタ周辺は配管の詳細がわからなかったので、ヒューズ箱を撤去した以外は1000番台のままです。

 床下は流石にモハ114-1000の流用という訳にはいかず一旦MG等の機器を撤去して更地にしてから実車写真を参考にそれらしく機器を並べました。私が所有している車両のうち1両は動力車となっていますが、床下機器の形状がよく似ているという点からモハ164用ユニット+DT21台車の組み合わせ(窓ガラスおよび床下機器カバーにおいて若干調整する箇所があります)を採用しています。

 参考までに床下に搭載するCPの数ですが初期車はC-1000×2台、1965(昭和40)年度民有車両以降(83〜)はC-2000×1台に変更されています。GMの補修用パーツ(別売品)で対応出来ると思います。





 モハ115-11・59・82・112(画像は82)

 
屋根は通風器以外はなにもないので、いかにスッキリ見せるかがカギとなります。
 床下はモハ115-1000の流用で特にいじっていません。





 クハ115-159・213(画像は159)

 
黒磯寄りのクハです。
 トイレ下には銀河製のトイレ流し管を追加し、先頭部はデカ目にする関係でKATOのクハ165の運転台部分を切継ぎます。また、下り側のクハなので先頭部に幌を追加します。
 床下はクハ115-1000の流用です。






 クハ115-115・160・214(画像は160)

 
上野寄りのクハで先頭部に幌がありません。床下にトイレ流し管を追加します。

 参考までに実車の新前橋区クハ115-115は奇数番号ですが偶数向きクハとなっています(他にクハ115-105・111・123の例がある)。





 サハ115-34・37(画像は34)

 小山区のサハ115-0で7両編成の4号車に連結されます。床下はサハ115-1000の流用で、銀河製のトイレ流し管を追加します。



2.AU75系冷房改造車グループ



 
115系300番台の登場により在来からの115系0番台の一部に対し、1975年より冷房改造が行なわれ115系0番台に冷房改造車が登場しました。1982(昭和57)年度以降は省エネ形後継機であるAU75E〜Gに移行した関係で、クーラーキセがステンレス製無塗装となっています。この変更は新製車ばかりでなく冷房改造車にも適用されています。

 車体の改造は横サボ(模型は国鉄時代の準備工事仕様)を追加する以外は0番台と同様です。






 モハ114-827

 
動力車となっています。
 車体構造はパンタ付近を低屋根化に対応した以外は基本的に115系1000番台に合わせているので、窓ガラスの一部に調整が必要ですが動力ユニットは加工なしで取り付け可能です。動力はモハ114(またはモハ112)用を使用します。

 低屋根部分ですが、改造当時(1993年)は低屋根に使える屋根パーツはKATO製パノラマEXPモロ164-800のものしかなかったので、これとモハ114用を切継いで間に合わせています。パンタ脇の通風器のところで切り継いでいるのでこの部分の通風器だけは改造時に一旦切除し、切継ぎ工程後に改めて取り付けます。





 モハ115-103

 屋根はモハ115-1000をそのまま使用しており、当時の近郊型電車特別保全工事施工車に比較的多かった(特に大宮・大船工場施工車にその傾向が強い)塗り屋根としています。





 クハ115-8・72・169・211・212(画像は212)

 上記の5両共通でスリット形タイフォンおよびシールドビーム仕様のためクハ111-2000を種車としてまとめています。
 床下は銀河のトイレ流し管を追加しますが、一部の車両は汚物循環処理装置を付けました。

 前述の通り最前部のベンチレータはクハ115-99〜は箱型ですが、AU75系冷房改造車に限り通常の押込型に改造されています。

 画像の212は塗り屋根化および客用扉上部にGM製近郊型電車用ステッカーの中から『禁煙車』を切り出して貼り国鉄末期のスタイルとしています。





 クハ115-610

 
59-2改正で新前橋区に登場したクハ115-600番台で、三鷹区のサハ115-0が種車です。

 車体はクハ115-1000のものを使用しています。運転台ブロックは1000番台仕様であるためオリジナルのクハ115とは運転席側乗務員扉付近の窓割が異なっており、乗務員扉付近は戸袋窓のみとなっています。
 本当は通風器の配置はサハ115時代のままなのですが、模型ではクハ115のものをそのまま流用しています。

 実車は大宮工場で先頭車化改造(この時に横軽対策も併施)の後改めて大井工場において冷房改造と特別保全工事が施工されています。そのため塗り屋根化されていません。模型は全てが施工された1984年7月以降の姿とし、冷房装置はこの時に搭載されたAU75F(AU75Gで代用)としています。



3.AU712形冷改車グループ


 上野口115系0番台の中でも比較的特異な存在となっているAU712分散式冷房改造車グループです。
 大部分の車両において車両更新工事も併施され、ドア部分の窓ガラス押さえに幾つかのパターンがあるなど、上野口115系全体でわずか16両の少数グループですが若干のバリエーションが存在します。

 模型のプロトタイプはドアが黒Hゴム押さえ方式でいちばん簡単に作れる小山区のY103を選びました。実車はMM'Tc'の3両は1989(平成元)年に新津車両所(現・J-TREC新津)で冷房改造・車両更新工事が、残りのクハ115-228は1990(平成2)年に東急車輛(現・J-TREC横浜)で冷房改造および方転改造が、翌1991(平成3)年に大宮工場にて車両更新工事を行なっているちょっと変わった経歴を持つ編成です。

 模型はGM製のインバータークーラーセット(No.95-4)に入っているAU712を使用し銀色に塗装して搭載しています。製作は1996(平成8)年です。






 モハ114-103

 冷房用電源として屋根にインバータを搭載しているので床下は非冷房車とほぼ同一の外観ですが、模型はモハ114-1000の流用です。床下の160kVAMGはご愛嬌ということで(^^;)

 MG給電方式にする場合はインバータ装置は不要でクーラー2台のみとなります。この場合床下はモハ114-1000用のままでもいいと思います。





 モハ115-117

 ↑のモハ114-103と改造内容は同じです。前述の通りMG給電方式にする場合はクーラー2台のみとなります。





 クハ115-196

 車体の改造工法は屋根以外は↑のクハ115-212と同じです。
 この車両のみ、行先幕がありません。またJR仕様なので先頭部屋根にJR統一無線アンテナを設置し、車体側面にJRマークを貼ります。

 冷房改造車ですがAU712搭載で天井の大掛かりなダクト取付改造を行なっていないからなのか、先頭部のベンチレータは箱型のままとなっています。





 クハ115-228

 
黒磯寄りのクハで先頭部に幌を取り付けます。屋根は↑のクハ115-196と同様、箱型ベンチレータ付きとなっています。またJR仕様としてJRマークの他に統一無線アンテナおよび上半分を黒、下半分をクリーム10号で塗装した汚物循環処理装置を取り付けます。

 クハ115-0後期形(昭和43年本予算増備車以降の215〜)の特徴であるふた付きタイフォンおよびシールドビーム改造車仕様にするため、クハ115-1000を種車としてまとめました。



§2.115系800番台改造車


 
2013年にKATOから発売された115系800番台スカ色を種車に改造製作しました。


 以下に示す7両は当初の計画では115系1000番台の改造で製作する予定でした (KATOから115系800番台が発売された事で改造製作着手を目前に計画が変更となりホッとしたようなガッカリしたような・・・)。

 §1.の1000番台改造車と比較すると今までの苦労は一体何だったのか?と思うほど改造は楽チンです。


 中央東線用のスカ色車は4両固定の60-3改正以前の姿を、御殿場線用はクモハ115-500が入った59-2改正以降の3両編成を国鉄仕様で模型化しています。改造は2013年7月〜2014年1月です。





 クモハ115-15

 こちらは中央東線用のスカ色です。
 車体・屋根は非改造ですが、在来のスカ色115系1000番台や荷電との連結がある関係で先頭部のカプラーのみTN密連に改造してあります。編成内に他車との混結を想定していないので先頭部分以外のカプラーは製品のままです。





 モハ114-815


 
動力車です。
 車体は1エンド側(中央東線基準で新宿寄り・模型では低屋根側)の幌を撤去し、幌枠を追加しています。





 クハ115-177

 
↑のクモハ115-15と同様で、先頭部分の連結器をTN密連に変更しています。
 1エンド側(トイレ側)の幌を撤去し幌枠だけに変更しています。





 サハ115-3

 やはり1エンド側(非トイレ側)の幌を撤去し幌枠だけに変更しています。他は非改造です。

 製品は全般的にモールドが控えめ(大昔からのKATOの傾向ですが・・・)でサボ受け等はタヴァサのエッチングパーツで作り直そうか・・・と考えていましたが、工数低減という理由(車体全体の再塗装が必要になる)で製品そのままとしました。





 クモハ115-513

 御殿場線用の115系で国鉄仕様となっています。

 プロトタイプは59-2改正で登場したモハ115-0改造の500番台で、運転台ブロックは115系1000番台仕様です。したがって他の115系800番台改造車とは異なりこの車両だけは車体構造をクモハ115-1000に合わせています。

 改造ですが車体はクモハ115-1000用を使用し(クハ115-1000/1100でも可)、側面はクモハ115-0のものをそっくり移植します。↑のクハ115-610と同様、運転席側乗務員扉付近の側窓は戸袋窓のみとなります。運転台ブロック切継ぎ部分付近のグリルおよびサボ受け一式はタヴァサのエッチングパーツを使用して両側面共に作り直します。
 通風器の配置はモハ115-0と同じになるよう変更し、実車と同様切継いだ部分の屋根のみ塗り屋根にしています。床下はクモハ115-1000のものに変更しています。

 115系800番台改造車の中でもっとも手間のかかる車両です。





 モハ114-821

 
動力車です。
 車体はあまりいじる所はありませんが、2エンド側(御殿場駅基準で沼津側)の幌を撤去し幌枠だけにします。動力台車のカプラーは隣りのクモハ115-513に合わせてTN密連に変更します。





 クハ115-60

 御殿場線用115系3両の中で一番改造規模の小さい車両です。カプラーをTN密連(両側とも車体マウントタイプ)に変更するだけで、あとは湘南色への色替のみとなります。

 湘南色への変更時の注意点ですが塗り分けラインが双方で異なります。製品のスカ色のラインをサンドペーパーを使用して目立たなくさせる仕上げを行なった後に塗装しています。下地仕上げ作業時にサボ類のモールドが潰れやすいので注意が必要です。



各部の詳細画像


1.モハ114-827低屋根付近


 モハ114とKATOのモロ164の屋根を切り継ぎました。
 塗り屋根にしています。

















2.インバータ冷改車の屋根





 実車の屋根には電源用の配管が通っていますが、詳細がわからないので妻面以外は省略しました。






















3.妻面の幌撤去および幌枠の新設


 製品は両妻面に幌が装着されていますが実車の幌は片持ちなので片側の幌は撤去します。
 我がフロアーレイアウトでは単線はTOMIXのC280、複線高架は同C428が標準なので問題ないですが、これより小さい半径のカーブを使用すると場合によっては隣の車両と干渉するケースが予想されるので片側の幌を撤去した車両が多い(101系および客車を除く)です。

 幌が付く側は線区および所属区により違いが見られるので実車に合わせています。幌を撤去後他車の改造で余った車体から幌枠部分のみ切り出し(かなり難しい作業です)、車体に接着します。

 塗装ですが、改造規模が小さいので車体全体の塗り直しは行っておらず妻面のみ再塗装しています。




 塗料はGMカラーを使用しています。画像のスカ色青15号ですが製品のまま吹くと誰が見ても青15号に見えるような最大公約数的な配合なのでなんとなくとぼけたような感じの色合いになります。そこで若干ですが青20号(24系ブルトレの青)を混ぜて極力製品の青15号に合わせる調合を行なっています。クリーム1号の方は特に色調の調整は行なっておらずそのまま吹いています(今回の115系スカ色車はクリーム1号での塗装作業は行なっていません)。

 塗料の調合に際しフラットベース等は使用しておらず艶の具合の調整は行なっていません。


 湘南色の場合ですが、黄かん色は製品そのままでは若干赤みが強いのでクリーム1号を僅かに混ぜて調整しています。緑2号は製品そのままでも全く違和感がないのでそのまま吹いています。



4.原形車・特保車・車両更新車の配色


仕様の違いにより、中間貫通扉も写真のように塗り分けています。
左から、未更新車、車両更新車、特別保全工事車の順です。



参考までに、未更新車は白3号と緑2号と黄色5号を適当に混ぜたもの、特別保全工事車はクリーム1号(スカ色のクリーム色)、車両更新車はステンレス地を表現するためメタリックテープを貼っています。



 座席も塗り分けています。


左から未更新、特保、車両更新車の順です。



−組立てについて−

 窓ガラスは前述の通りサッシはGM製、Hゴム部はKATOのガラスを組込みますが、床下固定用の爪を生かすためHゴムのガラスはKATOのものを位置関係はそのままで車体に接着します。
 接着剤は『コニシボンド 発泡スチロール用』を使用しています。
 車体の曲がり修正や細かい調整を行なった後、115系0番台車の完成です。



 今まで完成品で近郊型電車といったら1977年以降に登場した113系2000番台・115系1000番台・415系100番台が中心のシートピッチ拡張車しかなく、111系や115系0番台等を増備しようとするとGMキットを利用する以外に方法はありませんでした。

 私がこの手の改造を始めたのは1984(昭和59)年秋頃で、当時は70年代に一部で発売されていたGM111系完成品(通称・グリ完)をそのままキット仕様とした完全な一体車体の111系キットしかなく、当時はこれを使用するしか方法がなかったのです。1991年に同社の111系キットがリニューアル(2016年現在で現行品)され車体はパーツごとに分かれて窓が別パーツとなり、KATOやTOMIXの113系と混結しても違和感が感じなくなるほどに改良され、更に 2012年にKATOから111系が発売され111系のみならず113系初期車や115系0番台等の初期R窓近郊型が面倒な切継ぎ改造を行なわずに気軽な改造で製作出来るようになりました。時代と共に改造製作が楽になってきた感じがします。


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