荷物・郵便客車
今回は旧国鉄時代に見られた荷物列車に使用された車両群の特集です。
昭和53年〜60年頃の尾久客車区・隅田川客貨車区および東北地区に配置されていた車両を中心に、53-10改正以降の隅田川駅発着の急行荷物列車、東北地区の普通客車列車で見られた編成を再現出来る車種を選んでいます。
国鉄の定義では小荷物輸送(いわゆるチッキ)は旅客営業の一部という事になっており、旅客の乗降がなくても小荷物を扱う貨物駅は
『貨物駅』 ではなく貨物・旅客の両方を扱う 『一般駅』 として扱われてました。このような例は隅田川・汐留・横浜羽沢や新潟の上沼垂駅など全国に多数あります。
東海道線や東北線などの幹線では荷物車や郵便車を多数連結した専用の荷物列車を編成し、途中駅で荷扱いをしながら走る列車と一部区間または全区間で途中駅における荷扱いをしない、いわゆる締切輸送体制を組む列車の2つに分類できます(注: 前者が荷物列車、後者が急行荷物列車という意味ではない)。東北線でも荷物列車が多数設定されていましたが、黒磯以北の交流区間を対象に一部の列車で旅客車を併結し普通列車の一部として運用される列車が存在しています。
トラックによる宅配便の登場で1970年代中頃から表面化してきた荷物輸送量の減少により53-10改正以降ダイヤ改正の度に小荷物輸送は徐々に縮小し、昭和61年9月に郵便車が廃止されたのに続き、民営化直前の61-11改正で荷物列車は全廃となり姿を消しました。この影響で当時まだ新しい車両だったマニ50も大量に余剰となり、マニ50のうち3/4は不本意にも廃車となる結果となりました。現在では救援車・控車代用としてマニ50・スユニ50がわずかに残っているのみとなっています。
模型で荷物車・郵便車というとスニ40、マニ50・60、オユ10、スユ44等が完成品として存在するだけなので、他形式を増備しようとする場合はGMキット組立か、改造・自作しなければならないというある意味面倒で厄介なジャンルとなっています。
改造・製作は1985(昭和60)年〜2016(平成28)年です。形式車号の次にあるカッコは実車の所属を示します。
マニ36 2156 (隅田川)
まずは旧型客車の荷物車を代表するような存在であるマニ36で、模型は一番数の多いスハ32系を改造種車とする標準タイプのグループに属する車両です。GMキットをストレートに組んでおり切継ぎはしていませんが、KATO製の床下一式を組み込む関係で車体側面裏側にモールドされている床板固定用のガイド(?)は全て削り取ります。これはGM製車体+KATO製床下仕様となっている車両全車に共通の内容です。
床下一式はKATOのオハフ33用をそのまま流用して2エンド側(車掌室側)のみテールライト点灯式としています。床下機器は非改造で台車はKATOのTR23を履いています。切り継ぎ改造はしていないので比較的楽に製作出来る車両です。
マニ37 2020 (尾久)
急行「津軽」併結用として尾久に配置されていたマニ37で、2エンド側(車掌室側)妻面のスロ60譲りの形状が特徴です。
模型はスロ60を種車として改造された2011〜2020のグループで車体は↑のマニ36と同様GMキットの素組みですが、マニ36の場合と同じくKATOのオハフ33用床下をそのまま流用してテールライト点灯式にしています。
マニ36と同様台車はTR23を履いてます。
マニ37 2017 (尾久)
こちらはKATO製の改造車です。
↑のマニ37 2020と同じく2エンド側妻面がキノコタイプ(食パンタイプ???)のグループですが、こちらはベンチレータは5個です。車体は特に手を加えていません。
尾久配置の2017〜2020のうち、どういう理由なのか判りませんが2017だけがベンチレータが5個となっています。↑のマニ37 2020の画像基準で右から2番目のベンチレータを撤去します。ベンチレータ5個搭載車は2017の他に2012・2016の2両が存在します。
マニ60 2559 (福島)
1986(昭和61)年購入のKATO製の1次製品ですが、最後部連結用に2エンド側のみテールライト点灯式に改造しています。
座席は種車のものを改造の上再利用していますが車掌室付近はテールライト取付のため大改造となり、遮光板はオハフ33用を改造して使用しています。また取付時にあちこち干渉するので遮光板の下半分を切除した結果取付後の固定が出来なくなり、中央に孔を明けて台車固定用のビス(KATO製)で車体に直接固定しました。分解時は簡単に外せる構造です。台車はTR11を履いています。
改造の詳細は↓の『4.マニ60のテールライトを点灯式に改造する』の項を参照ください。
マニ50 2146 (隅田川)
KATO製のマニ50です。
TOMIX製と異なる点は車掌室窓の表現方法と、室内装置が作り込まれていてテールライトが点灯するの2点です。
車掌室窓のディテールの違いは側面だけに目立つ所ですが、実物を見る限りでは解釈の違いだけでどちらも間違いではないと言えそうです。
KATO製はトイレ側のみテールライトが点灯します。そこでこの車両は製品を改造し反対側のテールライトが点灯するように改造しました。
改造は非点灯側のテールライトのモールド部分に丁寧に孔を明け、検査標記インレタを転写します。床下一式ですが改造工数の低減を図るため製品とは反対になるように取り付けるだけに留めています。
座席は前後反転させるので仕切り壁と窓割が合わなくなりますので元のモールドを全て撤去し、適当な材料で新規に仕切り壁およびトイレ区画を追加します。
スユニ50 2035 (福島)
旧型客車と50系の新旧折衷的な車両で、TOMIX製マニ50を種車に側板をペアーハンズ製エッチング板に交換しました。
↑のマニ50と同様、両エンドともテールライト点灯式となっています。床下は種車のマニ50用を使用しており改造の詳細はマニ50と同じです。
ずっと↓の方で画像入りで説明しますが床板の台車を固定する心皿(ボルスター)付近を改造し、台車は改造した心皿に合わせて孔径を大きくしたKATOのTR47を履いています。そのため種車の集電板を兼ねたウェイトと台車集電板の間で激しく干渉しまくりの状態となり、そのままでは台車が装着出来なくなります。そこでKATOの床下に装着されている銅板を長さはそのままで床板に両面テープで固定しその上に台車集電板に当たる部分のみを切断して短くした種車のウェイトを貼ってあります。つまり床板はTOMIX製の床板とKATOの集電システムのコラボとなります。
マニ44 2062 (盛岡)
車体構体はGM製キットをストレートに組んだものですが、最後部連結用としてテールライト・室内灯を点灯させるため床下を5ピースに切継いで台車集電板付き台車を履かせて通電させています。切継ぐ床板は台車心皿付近に集電板用の孔が開いている物なら台車・床板のメーカーさえ揃えられれば何でもOKです。私はKATO製で揃えています。
室内灯は2エンド側のみ3mm白LED2個+300Ω抵抗による照明で進行方向に関係なく点灯します。またテールライトも2エンド側のみで赤LED2個直列+200Ω抵抗の組み合わせです。
マニ44はキットをそのまま組むだけでは若干腰が高く不安定です。そこでテールライト非点灯車両の場合も台車はKATOのTR50を使用する関係上、KATOの室内灯取付可能な車両の床下からボルスター部分だけを切り取って移植し、裏からはビスを固定するボス?を新設してビス止めで台車を固定しています。テールライト非点灯車の場合は台車集電板はただ邪魔になるだけですので集電板の上半分(台車から飛び出ている部分のみ)を切り取ります。
実車の台車はTR232ですが模型ではTR232は単品で発売されておらず、このためだけにTOMIXのマニ50を潰す訳にもいかないので形態のよく似ているKATOのTR50を履かせました。
オユ10 2019 (尾久)
KATO製の非冷房オユ10ですが車体関係は特に改造を行わず、その代わりに徹底した室内灯取付改造を施工しています。
実車は中央の葉書仕分室は蛍光灯による照明ですが、両端の小包締切郵便室および通常締切郵袋室は白熱灯による照明です。これを再現すべく中央の仕分室は白LEDによる照明、締切郵便室は電球による照明です。床下一式に白LEDおよび市販の室内灯(KATO製)1灯を増設するために座席パーツに取付座を追加する改造が必要で、白LED用は床下の集電板から直接通電するための孔明けの追加、電球用は他の車両の改造で余っていた室内灯取付座を切継いでいます。
つまり各部屋に1個の光源を設置することとなり、合計3個の光源を使用しています。1灯あたりの照明する範囲が実に限られるため室内灯セットに付属している導光レンズは使用していません。
白LEDには過電流(過電圧?)による素子破壊(玉切れ)防止のため300Ωの抵抗(1/4W)を組み込んでいます。
尾久の非冷房郵便車ということで55-10改正以前の常磐線や高崎線の客車普通列車に併結する設定としています。
オユ10 2525 (隅田川)
こちらもKATO製で冷房仕様車です。
製品の屋根は銀色ですが、編成を組んだ場合他車とのコントラストが強すぎるので自家調色した暗めのグレー(実は私の所有する485・583系と同じ色)に変更しました。
実車は非冷房仕様車とは異なり全室蛍光灯です。模型は↑の非冷房オユ10と同じく床板・座席パーツを改造し非冷房車と仕様を統一しています。電球の代わりに白LEDを使用し部屋ごとにLEDを配置し3灯で照明しています。そのため非冷房車と同様導光レンズは使用していません。
屋根はベンチレータとAU13はねずみ色1号で塗装し変化を与えています。
スユ13 2016 (函館)
KATOのオユ12のナンバーを変更して登場させました。実に簡単です(笑)。
室内灯は実車が白熱灯による照明なのでオーソドックスに電球を使用しています。
実車のスユ13はオユ12に電暖を追加したもので、自重が増えて「スユ」となった関係でオユ12では12t積に制限されていましたがスユ13ではこれを廃止して13t積(郵袋数977)となっています。
東日本ではオユ12は見る事が出来ず、『函航21』で東北線荷物列車(荷44レ〜荷41レ:53-10改正時)に組込まれて首都圏でも見る事が出来たスユ13の中から2016を選びました。
画像では屋根は製品のままの銀色ですが、2012年5月にグレーに変更しました。
スユ42 2016 (秋田)
スハ43系に属する郵便車で、GMキットをストレートに組みました。製品は側面にルーバーが追加され一部の窓がHゴム化された1954〜55年製の3・4次車(14〜16)がプロトタイプです。
両側面中央に存在する郵便車特有の明り取り窓ですが製品は何故か窓は貫通しておらずめくらとなっており、これだけはどうしても表現したかったのでエライ加工をを覚悟の上で全ての明り取り窓をくりぬきました。
その関係で窓ガラスは扉部分を除き明り取り窓を含め全て嵌め込み式に改造してあります。窓ガラスですが郵便マーク部分はオユ10から、郵便室明り取り窓はKATO製24系25形オハネ・オハネフ(旧製品)のトイレ窓を、側面Hゴム窓はGM113・115系キットの戸袋窓からそれぞれ流用していますが、明り取り窓以外は寸法的に若干大きいのでデザインナイフで寸法を詰めて嵌めています。
実車の台車はTR40ですが、Nではおそらく製品化されていない(???)と考え、また他車と修理用の予備品を共通化させるという意味もあり形態のよく似たTR47で代用しています。
床板・座席はKATOのオハフ33用を流用しますが座席のモールドは全て削り取り、完全フラットにしてから部屋ごとに仕切りを入れて室内灯3灯で照明するためオユ10と同じ手法で室内灯を搭載しました。非冷房オユ10と同様中央の仕分室のみ白LEDを、前後の郵袋室は電球を使用しています。ワタシが幼少の頃に蕨付近(ちょうど日本車輌蕨工場のあたり)で見た1975年頃の東北線荷物列車を再現するため中間に組み込む関係で、床板のテールライト遮光板は室内灯用の改造を行なった上で取り付けていますがテールライトレンズは外しています。
床下一式ですが室内灯関係の大改造を行なった割には組立時は何の加工・調整も不要で、すんなりと車体に収まりました。
実車は台車がTR23の1〜6とTR40の11〜16の合計12両と少数派で、うち12〜16は後天的改造で電暖仕様となり2000番台です。
末期は門司と秋田に集中配置となりましたが70年代に入ってから廃車が始まり、最後まで残った2013と2015が1979(昭和54)年に廃車となり、1980年からはオユ10以降の軽量客車への統一が達成されています。
スユニ61 2048 (水戸)
関東で唯一見られたスユニ61です。
実車は水戸区に配置され、水戸線の客車普通列車(53-10改正以降は4往復)に連結されていました。水戸線基準で小山寄りに連結されスハ43系と連結されスユニ+基本編成の7連や、さらに付属編成も連結された10連での運用もあったようです。
57-11改正で常磐線と同様水戸線の普通列車もオール電車化され、廃車となってしまいました。
模型はKATOの北海道仕様をいじりました。主な改造・変更点は北海道仕様特有の煙突形ベンチレータ(?)のガーランド型への交換、および非車掌室側のテールライト点灯の2点です。
製品ではベンチレータは煙突形(???)が2箇所取り付けられていますが、これを普通のガーランド型に交換します。これで本州以南の仕様になります。
さて、実車のスユニ61は前述のように水戸線基準で小山寄りに付きます。当時の写真を見るとスユニは車掌室側ではなく反対側(郵便室側)が最後尾を飾っています。
製品のままではこれが再現出来ません。改造は以下の通りです。
1.郵便室側のテールライト用孔を貫通させる
2.ライトユニットを組み込んだ床下一式を単純に逆向きに組み込む関係で部屋ごとの仕切りの位置を変更する
この改造により郵便室側が点灯、車掌室側が非点灯となります。
車体の改造箇所は基本的には孔明け2箇所だけで済みますが、孔明けは正確に位置決めをしてから行なってください。ズレが許容を超えるとテールライトレンズが嵌まらなくなります。
また、床板は取付にあたって車体との若干の調整が必要ですがとりあえずすんなりと収まりました。
なお余談ですが、画像では室内灯が点灯していませんが実際は取付済です。ウチでは電球式の旧・室内灯が余剰となっているので有効転活用の意味もあり、床板に孔を明けて旧室内灯2灯(導光レンズなし)を使用して照明しています。
スニ40 2030 (隅田川)
KATOの完成品ですが、2000番台車にするためナンバー周辺を加工しています。
東日本地区で見られるスニ40は全て電暖付(ただし配管引通しのみ)なので、2000番台のナンバーが収まるように薄手のプラシートで延長しました。台車は種車のままのTR203です。
車体は切継ぎしていません。製品は多少デフォルメしている(ワキ5000・10000と部品共用化しているためか?)ようで本当は車体の全長はもう少し長いのですが・・・
ワキ8959 (隅田川)
これまた手をかけた車両で、KATOのワキ8000を加工し中央のパレット用扉2枚をワキ10000のものに交換しました。ワキ10000を種車にするなら屋根を張り替えるという方法もあります。
模型は昭和56年にコキフ50000との台車交換で登場したTR223付のタイプです。実車のワキ8959は59-2改正(57-11改正?)で運用から外れたようで以降は東大宮操に留置されていました。
ワサフ8508 (隅田川)
KATOのスニ40を種車とし、中央のパレット用扉1枚をワキ10000のものに交換しています。車掌室は廃車となったコキフ10000の車掌室を転用し改造して接合しました。車掌室付近の床下もコキフ10000の車体部分の再利用です。
窓および窓ガラスはKATOのオユ10のものを使用し、トイレ窓はクハ115のガラスを追加してまとめています。
テールライトには赤レンズを入れていますが、点灯は出来ません。台車はTR203を履いています。
ワサフ8508 (隅田川)(反対側)
実車は貨車ですが、荷物列車に連結され暖房を引き通す関係で前述のワキ8000と同様、貨車としては例外的に蒸気暖房および電暖が装備されている車両が存在します。ワキ8000は暖房引通し管だけですが、ワサフは引通すばかりでなく車掌室にも暖房用蒸気または電気を供給します。
ワサフ8514 (隅田川)
こちらは2014年発売のKATO製で、当時は単品発売されておらずASSYにて組上げた車両です。
私が所有しているワサフの中でこの車両だけ、非車掌室側のテールライトを点灯式に改造しています。
改造は若干複雑です。座席パーツの上に自作でブリッジダイオード・チップ抵抗・3mm白LEDを実装した基板を追加します。座席パーツに2箇所孔明けを行ない、基板から延ばした端子を孔に通して集電板に接触させて通電しています。
白LEDは全て3mm丸形を使用し、テールライトに2個、車掌室部分の室内灯用として1個を使用しています。
室内灯ですが、製品に付属しているような導光レンズは使用せず、LEDが裸のままでは明るすぎるので、ゴム製の白キャップを被せて減光および均等な明るさになるよう調整しています。製品のように外からは見えない荷物室部分まで照明する方式ではなく、車掌室のスペースのみ照明する構造となっています。
車体はテールライト用の孔を2箇所追加し、適当なテールライトレンズ差し込んでいるだけに留めています。したがって車体構造を大幅に変更するような改造は行なっていません。また床下のON/OFFスイッチはそのまま生かしており、列車の中間に連結する場合OFFにセットしておくと、全てのテールライトおよび室内灯は常時消灯するようにしています。
さて、改造・・・
1.ワサフ8000を作る
1985年のKATOのカタログに予定品としてスニ41(2009年に漸く製品化)と共に試作品の画像まで掲載されていたワサフ8000ですが、なんだか製品化する気配がない(?)のでワキ8000とコキフ10000の車掌室部分を切継いで製作しました。ワサフ8000はエッチング製ボディキットも発売されていますが、ワタシとしてはエッチングボディというのはぶつけると塗装が剥がれるしどうも扱いづらい・・・ということでプラ車体の切継ぎ改造に落ち着きました。
用意するもの(すべてKATO製)
・スニ40 1両
・コキフ10000 1両分の車体一式(コンテナは不要)
・ワキ10000車体 1個
・オユ10 窓ガラス 1枚(L・R片方で可)
・クハ115(111)トイレ窓 1個
・テールレンズ 2個
・車掌室用に使う適当なドア
・その他 プラシートなど
車掌室はコキフのものを使用し、
1.窓割りの変更
2.妻部の監視用窓の閉鎖
3.ドアの窓上下寸法拡大
4.雨水落し管の追加、などを行なっています。
床下はスニ40のものを使用し、車掌室の下の部分にはコキフの床下(車体?)を接合しています。
車掌室のドアはたまたま余っていたGMの客車キット(妻扉)から調達しています。
また、床板はただはめ込んでいるだけなので外れないように、ほんの微量の接着剤(私はコニシボンド 発泡スチール用を使用)で仮固定しています。
また、車掌室のデッキ部分はコキフのままなので実車よりは多少狭くなっています。
塗装は銀色→青15号の順(銀扉の車体標記部分はマスキングして元のものを生かす)で行なっています。また、かつて20系客車との連結用として登場した8800番台にするには青15号1色で全体を塗装します。
完全に乾燥したあと丁寧に組み立てればワサフ8000の完成です。
2.スユニ50を作る
TOMIXのマニ50を種車にペアーハンズから発売されているスユニ50のエッチング板セットを使用してまとめました。私が所有するNゲージで唯一のエッチングボディの車両です。奥羽本線普通列車用という設定で、ナンバーは福島配置車の中から選んでいます。
車体は側板を全て取り除いてエッチング板を貼り合わせます。荷物用扉もエッチングパーツですが瞬着による組立です。本当なら半田付けと併用した方がより確実な組立になりますが・・・屋根上の通風器類は画像のように並べています。
車体の塗装は金属部分にエッチングプライマーを塗って下地を仕上げてからグレーを車体全体に吹いて仕上がり具合を確認してから青15号を吹きます。
あとは好みの問題ですが青15号で塗装後車体全体をマスキングして屋根のみグレーを吹けば完成ですが、面倒であれば屋根は1回目のグレー塗装後屋根全体をマスキングしてしまい青15号を吹いて2回目のグレー塗装を省略するという手もあります。
塗装時の金属製車体の最大のメリットは自分が納得するまで何回でも塗り直しが出来るという点です。折角塗装しても仕上がりに満足しなかったり、仮に塗装が失敗したりしても剥離して再塗装が簡単に出来ます。ところがプラ製ボディはそうはいきません・・・
荷物室内の保護棒もエッチングパーツですのでプライマーで下地を整えてから薄緑で塗装し、乾燥後窓の内側から接着剤で固定します。外からは見えにくいパーツですので筆塗りで十分だと思います。
最後に床板を取付けるためののストッパーを車体側に新設してとりあえず完成です。
で、車体以上に手を加えたのが・・・↓
実は床板なのです。テールライト取付に伴う作業が中心です。
詳細は画像の通りで、前述の通りKATO製の銅板を床板にセットして(両面テープで固定しています)、その上に針金を切断する要領でラジペンで挟んで同じ場所をくねくねさせて強引に切断した(しかし乱暴だな・・・)種車のウェイトを元の位置に取付けます。これも両面テープでの固定になります。
余剰品を利用して作った室内灯は白LEDによる照明です。必要がなければ省略してもいいと思います。
画像に見える水色の200Ω抵抗ですが想像以上に発熱するのでプラ製の部品から離すように取り付けるかまたはアルミ箔による放熱対策をとった方が無難と言えます。アルミ箔を使用する場合はショートしないよう絶縁対策も必要になりますが・・・発熱の点から使用する抵抗のワット数はなるべく大きい物を使用した方がいいと思います。
電子部品の先端は現物合わせでウェイトに直接半田付けで間に合わせてますが、半田付けの際は手際よくやらないと熱の影響でプラ部品がゆがんできますので注意が必要です。もちろん半田付けの際は部品を外して行う事を強くお勧めします(苦笑)。
また前述の通りテールライトは両エンド点灯のため赤LEDと抵抗を組み合わせた電子回路は2組使用しています。2組とも全く同じ仕様です。以上の改造はスユニ50・マニ50とも共通する内容となっています。
台車は改造当時TOMIXではTR47が製品化されておらずKATO製を使用したので↓で説明する通りかなり面倒な改造に・・・(笑)。
次に台車付近の改造です。主な内容は画像内に記載した通りです。
注意すべき点はボルスター部分にある台車振れ止め用突起の撤去で、TOMIXの床板にKATOの台車を組込むという構造上、台車の円滑な動きを妨げないよう突起撤去後のボルスター周辺はなるべく凹凸が出来ないように仕上げています(やすり仕上げまでは必要ないと思います)。
私は見た感じ問題なさそうだったのでカッターで削っただけで特にこれといった仕上げはしていません。
最後に全て組み立てるとスユニ50の完成ですが、床板の派手な切継ぎ等はしていないため強度的には既製品と大差ないと思います。
このスユニ50製作時(平成6年)ではエッチングキットしかなかったので製作に苦労していますが、現在ではGM(クロスポイント)からプラ製のスユニ50キットが発売されたのでこれを使う方が絶対楽ですね・・・
3.オユ10のゼイタクな室内灯
↑前述の通り、実車のオユ10(特に非冷房車)は室内の照明が白熱灯と蛍光灯の2種が混用されており、中央の仕分室が蛍光灯です。
そこでNで何とか再現できないものか・・・と考えて実現させたのがコレです。当初は試作的要素も兼ねて試しで作ってみたのですが(^^;)
製作は全て床板関係のちょっとした改造だけで済みますので見た目ほど難しいものではないです。
まずは白LEDライトユニットの製作
基板を使わないムチャクチャな構造ですが、集電板に300Ω抵抗と互いに逆向きになるよう半田で固定した白LED(3mm)を直列に繋いで半田付けします。これにより進行方向に合わせてどちらかのLEDが点灯するようにしています。
集電板はKATO製の余っていたものを現物合わせで曲げたり切断したりして使用しています。これを床板に組込みます。
床板に組込んだ状態の画像です。
集電板の左右の間隔は床板に合わせています。また、室内灯を増設するため他の車両の改造で余った座席パーツから室内灯取付用台座を持ってきて接合し両端に1箇所ずつの配置にします。
下半分の画像は組み立てが完了した状態です。
従来よりも極端に狭い部分を照明するだけですので、通常は天井に貼り付けている導光用のプリズムは不要です。
元々この車両にはテールライトを組込んでいましたが、室内灯を充実させたかったのでスペース捻出の必要があり今回撤去しています。今後はこの室内灯の装備+テールライトの点灯、をどうやって実現させるかということになりますが・・・
4.マニ60のテールライトを点灯式に改造する
KATOのマニ60(初代製品)はスハ43系と共に1979(昭和54)年に発売された製品で、部品構成上客車の中でも比較的初期の製品に属します。当時はテールライトが点灯する客車といったらKATOの24系25形(昭和55年発売)が唯一の存在でしたが、最近では客車のテールライト点灯は普通列車用客車でも半ば常識という時代になってきた感があります。そこで、古い製品でありながらも現在の水準に引上げるため今回の改造となりました。
東北線普通客車列車の上野寄りに連結するという設定で、2エンド側(車掌室側)を点灯させています。
最初にマニ60を分解し車体だけにします。
最初にテールライト用の孔明けから始めますが、ここで問題となるのは普通に水平に明けようとする場合、孔明けの位置が車体の補強部分(座席を乗せる部分)にモロに突き当たるという点です。そこで、若干上向く向きに穴明けをすると干渉せずにテールライトのレンズが入る孔が出来ますが、孔のセンターを出しながらの作業なのでちょっと難しいです。
テールライトのレンズは孔とのサイズが一致し尚且つ限られたスペースにきちんと収まりさえすれば何を使ってもOKです。画像ではオハフ33用のレンズを切断して使用しています。
↑ライトユニットを組込んだ遮光板です。
組上げる時にあちこち干渉するので思い切って下半分を切除しました。そのため固定が不可能となるので固定用ビスのための孔を明けてビスを通し、車体側には固定用ボスを新設してビスによる固定としています。ビスはKATOの台車用を使用しています。
←取付後の様子です。
KATO急行形電車のヘッドライト集電方式に準じた構造となっており、ライトユニットの端子を床板のウェイトに接触させる形で通電させています。
下の画像は屋根取付前の最終アッセンブリ状態で、ご覧のようにまとめています。
今回はマニ60を題材に選びましたが、マニ60と同じ構造となっている初期製品のスハ43系・44系緩急車にテールライトを組込む場合にも応用出来ます。
最後に改造を施した各車両に通電してテールライトを点灯させた時の画像です。
いずれも列車の最後尾を飾る車両なのでテールが点灯するだけでも効果があると思います。
荷物車の改造製作ですが、マニ36・37・60など鋼体化客車やスハ32系を改造種車とした形式は車体の形状・窓配置や数などが同一形式内でも車両によってかなり外観に差があるので、実車の写真・資料を十分に研究の上製作した方がよいと思います。
なお模型化に際して、マニ36・37の実車調査は1985(昭和60)年2月17日に行われた国鉄異色機関車撮影会で会場となった東大宮操車場に留置してあったマニ36 2141・2156およびマニ37 2017・2020(いずれもこの時点では廃車保留車)を撮り鉄中の合間を縫って徹底的に調べ上げたデータを参考にしました。
<鉄道模型車両基地>トップページに戻る