211系
211系近郊形電車は当時老朽化が進んでいた東海道線111系および高崎線用115系(非冷房車)の置換え用として1985(昭和60)年12月に登場し、61-3改正を控えた昭和61年2月より運転開始された車両です。
常磐線415系500番台の使用経験を反映し、上記各線の混雑緩和のためにロングシートを主体とする車種構成をとり、耐寒構造の有無・座席の違いにより各区分番台が登場しました。
特に、高シマ区(現・高タカ)配置車は当初は高崎線のみの運用でセミクロス車の位置が上野寄りに固定された変わった運用形態でしたが、61-11改正より東北線にもセミクロス車限定で1往復が小金井まで乗り入れるようになり、JR化後の63-3改正からセミクロス・ロング混運用となりました。
現在も首都圏近郊輸送の第一線として活躍中です。
定義としては111・113系と115系を統合した形式という位置付けになっています。
また2005年12月改正で上野口211系に突如サロ入り10連固定の高崎のC編成が登場し、サロを中心にバラエティに富んだ編成が見られるようになりました。
模型の種車はKATO製ですが車体についてはあまりいじるところもないため、主に座席の変更を実施して各バリエーションを楽しもうという考え方で製作しました。
というわけで、上野口で活躍する3000番台車を中心に紹介します。もちろん東海道線の2000番台も全く同じように製作することができます。
座席の交換・切り継ぎだけで済むので、製作はとても簡単です。
改造は1991(平成3)年、2005(平成17)〜2007(平成19)年です。
まずは、形式写真から ↓
第1部:初期製品(A編成)
1986(昭和61)年に発売された製品で、実車登場後間もなく製品化されました。
初回ロット製品のみホットスタンプ(車体のメッキ状に仕上げられている部分)が客用扉の他に窓にも施されているという特徴があります。
模型では台車は全て(先頭部およびモハユニット間を除く)旧製品であるアーノルドタイプのDT50系台車を装着しています。
クモハ211-3022
高崎・宇都宮方の先頭車です。
車体は全くいじっていません。
JR以降に登場した3023〜を製作する場合は床下抵抗器を3連+3連に並べ替える必要があります。
モハ210-3022
実車と同じく、モハユニット間の連結器はドローバーを採用しています。
はっきりいって、連結しにくいです^^;
サハ211-3043・3044
座席を交換するだけです。
クハ210-3022
こちらも座席の交換だけ・・・と言いたいところでですがヘッドライトを組込むため、クモハ・クハについては座席の切り継ぎを行なっています。
なお、私が所有している上記の編成は、91年4月にホビセン限定で発売された特別仕様の211系3000番台で、半自動ドアスイッチが印刷で表現されています。
第2部:現行品(C編成)
2004年6月に一部設計変更されて発売された211系3000番台を種車として高崎のC編成(サロ入り10両固定編成)を製作しました。
この211系3000番台は今までの製品とは異なりKATOカプラー密連が標準装備となっています。
ですが私の場合、電車のカプラーはTOMIXのTM密連カプラーが標準となっていますので全車でカプラーの取扱いを統一させる意味と、211系初期製品と連結可能な構造とするため全車を対象にアーノルドタイプDT50系台車への交換およびボディマウント タイプTM密連カプラー化改造を施工しています。というわけで現行品はちょっと厄介な存在です。
クモハ211-3003
この車両は試験的な意味もありクモハ211初期製品の床板に交換しました。
さすがにそのままでは座席と床板が組み立てられず、床下のライトON/OFFスイッチ部分となる所に穴をあけてスイッチを生かしています。
あとは微調整をして組み上げますがあくまでも試験的要素が強く、あまり意味の無い改造です。
クハ210-3005
床下は現行品のままで、先頭部のスカートを生かしたままボディマウントタイプTM密連カプラー(妻面側も)に交換しました。
元のKATOカプラーマウント部を全て削り、TM密連を接着します。
モハ210-3003
C1編成の動力車です。
画像右の台車はドローバーが装着されていますので非改造ですが、左の台車はTM密連を装着するためアーノルドタイプに改造しています。
台車は接着剤が非常にのりにくい材質で出来ていますので改造に際してはちょっとした工夫が必要になります。
台車改造の詳細については以下に述べます。
サロ210-1005
カプラーをTM密連(ボディマウント)に変更しています。
また、1000番台のため客扉付近に半自動スイッチ(GM211系ステッカーより)を貼って表現します。
カプラーの変更については以下に述べます。
サロ211-1003
↑のサロ210と同様の改造となっています。
サロ212-1003
今度は211系C編成最大の見せ場である2階建グリーン車です。
台車は今では発売されていないアーノルド式TR235を装着しており、床下は非改造です。
座席は目立つ部分でもあるので実車のイメージに合わせて座席等を塗装しています。座席の配色は2階席は薄い紫系、1階および平屋部はグレーです。
やはり1000番台ですので半自動スイッチを表現します。
サロ213-1005
こちらはサロ213ですが、内容はサロ212と同様です。
この車両は元々113系サロ125として増備したもので、211系に転用の際室内を↑のサロ212に合わせた色に変更しています。
製品は現在サロ210と共に生産休止とのことで、是非再販をお願いしたい形式です。
さて、ここから211系の改造について述べてみようと思います。
1.211系ロングシート車を製作する
シマ(タカ)の3000番台5両を製作します。
用意するもの
・KATO製 西武 新101系中間車座席Assy5両分
まずは、先頭車用の製作から
クハ・クモハ共通で、先頭部のライトユニットがはまる部分のみを残し他はすべて切り離した後、西武101系の座席を矢印の位置で接合します。
あとはライトユニットをビス止めして終わりです。1時間あれば完成するでしょうか。
固定用ツメの位置は調整をいっさい必要とせず、1発で組み立てられます。
中間車用は何もせずそのまま組み立ててください。
都合がいいことに、車体と座席のドアの位置はピッタリと合います。
参考までに、セミクロス車の座席です。
2.タカ211系C編成の改造あれこれ
上記の3000番台化改造とは異なり、カプラーの改造が入るので作業が面倒になります。
カプラーの変更はオプションですので参考程度に見てください(笑)
その1:動力台車の改造
TM密連化改造のため、一旦アーノルドタイプ仕様に改造する方法です。
まずはカプラーポケット部を加工します。
KATOカプラーを取り付ける突起を切断して平滑にした後、台車本体の連結器取付部を画像の形状になるようにカッターナイフ等を使用して切除します。
画像にも書いてありますがカプラー取付部を全部切り取るのではなく、下半分を切り欠き状に残すのがミソです。
この残した切り欠きはカプラーポケット接着強度UPのため必要になります。
次に不要な台車からカプラーポケット部分のみ切り出します。
画像左のように大雑把に切り取り、画像右の形状になるまで削ります。
かなり目が痛くなる(?)作業です。
台車枠に↑で加工したカプラーポケットを上から差し込むように仮取付します。
ちょうどうまい具合に入ります。台車枠の切り欠き部に引っかかるように入るわけです。
後は高さ・曲がりに注意してゴム系接着剤などで仮止めし、アロンアルファプライマーセットを使用して接着部分にプライマーを塗り、乾燥させてから瞬着を流します。
プライマーは必要以上に塗ると接着後の強度が落ちます。ちょっと物足りないかな…くらいに留めることが重要です。
瞬着が完全に固化してからガタつかないかチェックします。接着剤がのりにくい材質ですが、この接着がうまくいくと驚くほどに強度が確保されます。
あとは微調整の後にTM密連カプラーを取り付ければ完成です。
その2:ボディマウント式TM蜜連を無理矢理取り付ける
非動力車にTM密連を取り付ける方法です。
床板の加工は画像中の説明の通りです。
取付位置は既製品に合わせています。取り付けの際はセンターを合わせる事も必要です。
固定は透明ゴム系接着剤で仮止めして位置が正確かどうかチェックした後、瞬着で固定します。
瞬着は必要最低限でOKです。必要以上に流すとカプラー内部にまで接着剤がまわってしまい、カプラーが固まって動かなくなってしまいます。
心配なのはやはり固定後の強度ですが、この方法ですと外れる、などの問題は発生しておらず見た目以上に強度があるようです。
この連結器改造はとにかく面倒であるのとカプラーが比較的高価で改造するのに何個も必要であり(今回の改造のように1両では済まない場合が多い…)、結果的に非常に改造費がかさむという問題があります。
〜最後に〜
私が改造した車両の中で、一番簡単に製作したと思われる211系ロングシート車ですが、特に東海道線の2000番台基本編成を仕立てる場合は座席Assyを8両分用意しなければならないなど、部品調達面で苦労することがあろうかと思います。
この改造によってセミクロス・ロング両方を所有することになる方は是非とも室内灯を組込んで、座席の違いがわかるようにした方がおもしろいと思います。
また、KATOの211系3000番台ですが在来製品とカプラーおよび取付方式が異なり、製品そのままでは連結できないのでKATOカプラー蜜連への変更はやって欲しくなかったというのが率直なところです。
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