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113系(湘南色)

 東海道線東京口普通列車の電車化は1950(昭和25)年に投入された80系から始まりそれまで運転されていた客車普通列車を置き換えましたが、さらに新性能化対応として1962(昭和37)年に111系が、翌1963(昭和38)年に113系が登場し、以降は80系を徐々に置き換えていく事になります。
 最後まで東京口に残った80系(静岡車)も1977(昭和52)年3月に113系0番台後期車に置き換えられて消滅し、以降は211系が登場する61-3改正まで111・113系の天下が続きました。サロ110-0およびサロ112以外は大部分が新製車で揃えられていた東京口の111・113系も56-10改正対応増備車を以って新製が終了し、次の57-11改正以降はサロ153改造車のため古い車が特に集中して残っていたサロ110-0を中心に置換えが進行し、グリーン車を中心に改造車が増えていきました。
 61-3改正で後継車である211系が登場すると111系は東京口から撤退し熱海以西に短縮され、国鉄最後の改正である61-11改正では111系は東海道線から撤退して以降、民営化を挟んで113・211系の体制が長いこと続きましたが2004(平成16)年に登場したE231系によって113系の置換えが始まり、2006年3月に東京口から引退しました。

 模型は55-10改正〜60-3改正頃までに見られた車種・編成を中心とした構成となっており、実車同様グリーン車は非常にバラエティー豊富な内容になっています。改造は1984(昭和59)年〜2020(令和2)年に少しずつ必要がある度に行ないました。また、国府津車と静岡車があり、差別化を図る意味もあり車種構成を微妙に変えています。
 改造種車は全てKATO製です。


 まずは、形式写真から ↓


第1部:111系静岡車


 東海道線東京口の111系は最後まで冷房改造されず全車が非冷房車でした。大船・静岡の2区に分散配置されていた111系は1974(昭和49)年以降の東京乗り入れは静岡車のみとなり(大船区の車両は静岡・広島地区に転出)、113系の増備によって静岡地区の運用に重点が置かれていく事になります。

 61-3改正まで111系で運転されていた品川・東京発着1839M・870M・327Mの3本の普電をプロトタイプにしていますが、12連から10連に短縮された59-2改正以降の姿で纏めています。実車は111系として製造された車両ばかりではなく、特にクハ111は113系初期車として製造された車両も含まれるため全車非冷房でありながらバリエーションが多いのが特徴です。運転日によっては部分的に113系冷房車が入ったり、逆に111系がサロ入り11連に入る(ただし、MG給電の関係で9〜11号車に組み込まれる事が多い)事もありました。
 実車は静岡L編成(4連)およびS編成(6連)が該当しますが、一部に113系初期形非冷房車が含まれます。かなり余談ですが、静岡車の場合6連で長いのでL編成、4連で短いのでS編成(ロング・ショートの意味か)だと思っていたのですが、どうやら違うようです・・・

 模型は2012(平成24)年に発売されたKATOの111系が種車です。1984(昭和59)年8月25日の327Mに組み込まれていた静シスL7+S8がプロトタイプです。





 
モハ110-53

 111系のM'車です。

 車体は東京駅基準で熱海側の幌を撤去し他車の車体から切り出した幌枠を移植します。
 切り出した幌枠は切り口の仕上げを行なわずに切り口側が見えるように車体に接着し、乾燥後に荒れたまま表向きを向いている切り口を鉄ヤスリを使用し平滑に仕上げます。あとは車体全体の塗装のやり直しのみとなります。

 幌枠だけを切り出すのは非常に難しい作業です。カッターナイフで切り出していますが、怪我をしないよう細心の注意が必要です。簡単に済ませたいならエッチングパーツを使用するのがベストですが、エッチング製の薄いパーツなので接着しても外観的になんとなく物足りなさを感じます。

 床下は特に弄っていません。またウチの111系は111系10連の固定編成という前提で113系との混併結は考えておらず、カプラーは111系10両全車共通でKATOカプラー密連(フック付き)のままとなっています。そのため全車がTN密連化されている113系とは混併結できません。





 
モハ111-53

 ↑のモハ110と同じです。

 相も変わらずKATO製の車両はサボ受け類のモールドが控えめな表現で、エッチングパーツで作り直そうかと考えていましたがとりあえずそのままとしています。





 
クハ111-302

 東京駅基準で熱海側を向いているクハです。実車同様床下にCPが付いています。

 最初期形のクハであり、車体は製品のままで特に弄っておらず他車に合わせた再塗装を行なうだけに留めています。





 
クハ111-88

 こちらは東京駅基準で上野側を向いているクハで、床下のCPはありません。
 この車両は113系初期車と同時に登場したタイプ(クハ111-49〜、同332〜)で、屋根のベンチレータは最前部の1個を箱型(115系0番台後期車と同タイプのもの)に変更します。また車体は乗務員扉のすぐ後で切れている雨樋を延長しクハ111後期車と同じ長さ・形状に揃えます。
 雨樋の延長ですが幅0.75mm、t=0.25mmのプラ帯板を使用し、適当な寸法に切断してからゴム系接着剤でとりあえず仮固定し、位置を調整してから瞬間接着剤で正式に固定します。次に種車の雨樋に合わせて寸法の切り詰めおよび小形の鉄ヤスリやサンドペーパを使用して厚みの調整および接着剤のはみ出た部分の仕上げを行ない、最終的に延長した部分が外観的に違和感のないように仕上げます。
 幌は先頭部の幌は残しますが、トイレ側のものは撤去しモハ110の項と同様に幌枠を追加します。




第2部:113系国府津車


 東海道線東京口で最も幅を利かせているのが国府津運転所所属車で、0番台後期車・1000番台初期車・55-10改正で増備された2000番台の各タイプが揃っています。L特急踊り子が運転開始となった56-10改正では田町電車区153系の各停運用置換え(具体的には急行運用は特急に格上げされて185系に、各停運用は113系に置き換えられて同区153系は全廃となった)のため同区に基本・付属ともオール2000番台の編成が登場しましたが、国府津2000番台の場合は編成単位での増備は行なわれずあたかも各編成の隙間を埋めるような感じで細切れとなる形で投入されたため、サロ入りの基本11連では全車2000番台(サロ110は1200番台)で統一された編成は存在しません。

 国府津車の特徴として2サロ入り11連・付属4連の他に伊東線用の7連(サロ入り)が存在します。伊東線用は主にスカ色の1000番台(初期車・後期車)が中心でしたが、55-10改正で1000番台後期車は大船へ転属し0番台後期車および1000番台初期車のみとなり、57-11改正頃までに湘南色に統一されています。

 模型では国府津車は1000番台初期車と2000番台がメインで、グリーン車は正統のサロ110-0とサロ111が中心です。






 モハ112-1050

 113系1000番台のR窓初期タイプで、モハ110の改造で纏めています。

 改造の中心は行先幕の追加と冷房改造で、同時にベンチレータを押込形に変更します。行先幕は準備工事の状態を再現しており、エッチングパーツを取り付けています。
 動力装置はモハ114-300用のものに振り替えており、160kVAMGがモールドされている正規の形態となっています。台車はTN密連に変更する大改造を行なっています。





 
モハ113-1050

 こちらも↑のモハ112-1050と同様です。
 床板はモハ111のものをそのまま流用していますが、カプラーはTN密連(ボディマウントタイプ)に変更しています。行先幕部分のHゴム表現ですが、試験的に筆塗りで表現しています。





 
モハ112-1031

 この車両も↑のモハ112-1050と同じ改造ですが、最大の違いは行先幕が白表示仕様となっている点です。車体に行先幕用の孔を追加する必要が出てきますが、ここでは113系2000番台の車体から切り出して切継いでいます。
 行先幕本体は24系北斗星用を使用しており、印刷部分を溶剤で拭いて消去し、白Hゴムを色差しした後に組み込める大きさに切断してゴム系透明接着剤(ワタシはコニシボンドGクリヤーを使用)で固定します。

 床下はモハ110用を改造して使用しており、160kVAMGおよびC-2000形CPの追加と一部機器類の移設を行なっています。

 参考までに行先幕の白表示ですが、113系国府津車・静岡車の行先幕本工事が進みつつあった頃を表現しており、同一編成内に白表示車と準備工事車の2つを混用させています。
 ちなみに実車の行先幕の使用開始は211系の増備に合わせて61-3改正からです。





 
モハ13-1031

 ↑のモハ112-1031と同一です。
 床下はモハ111のままとなっています。床板に5kVAMGのモールドがありますが、113系ではM'車に移されたので撤去するのが正解です。





 
モハ112-2068

 55-10改正で大量に増備されたグループで、国府津で比較的多数派となっている2000番台です。

 この車両の購入時点(1991年)ではJR仕様として登場させた車両で、60-3改正までの国鉄仕様って言っておきながら行先幕に行先が表示された状態です。黄かん色で塗り潰すか白表示にするかはまだ決めていないので当面はこのままです。
 改造は床下に集中しており、製品ではなんとCPが表現されていないので(どうやって電磁直通空気ブレーキをかけるンでしょうね? 笑)、160kVAMGとブレーキユニットの間にC-1000形CPを追加します。





 モハ113-2068

 ↑のモハ112-2068と同一です。





 
クハ111-229

 クハ115-300を改造した車両で、タイフォンの変更と屋根についているAW2形警笛を撤去します。
 国府津の113系は上野口115系・415系の場合とは異なりクハの貫通路は基本+付属併結時でも使用しないので、クハ全車共通で先頭部の幌はありません。
 側面の行先幕は白表示です。





 
クハ111-2146

 東海道線東京口では比較的珍しい部類に入る113系2000番台の奇数向きクハで、模型は奇数向きクハにもトイレが付いた2146〜のタイプです。
 56-10改正以降もトイレ付きで増備されましたが、同改正対応で増備され田町区に新製配置となった2151〜は塗屋根で出場していますので、東京口で非塗屋根の車両は1980(昭和55)年製の2146・2147の2両だけで少数派です。

 模型はこれも増備当時(2014年)はJR仕様で登場した車両で、行先幕は何も手付かずの状態(ただし白H仕様にしてある)です。




 
サハ111-1001

 東京口113系のサハで圧倒的に数が多いのが1000番台初期車(R窓)です。
 実車は全車大船区新製配置でスカ色でしたが、54-10改正〜55-10改正の2回に分けて国府津に転属し全車が1980(昭和55)年までに湘南色に変更されています。

 模型はサハ111-2000の改造で纏めており、改造工程は115系0番台と同じ工法で製作しています。行先幕は113系2000番台の窓ガラスから切り出して使用しており、準備工事状態の表現のため黄かん色で塗り潰しています。屋根は製品の流用です。
 床板・座席はサハ111-2000用の流用で窓と座席のピッチが僅かにズレています。






 
サハ111-1010

 こちらも↑の1001と同じですが、行先幕は白表示です。
 床板はサロ用として改造してあったものをそのまま流用して間に合わせています。床下があまりにも簡素過ぎるので作り直そうかと考えているところです。




第3部:113系静岡車

 国鉄時代は静岡にもサロ2両を組み込んだ11連(T編成)がありました。11本のみの存在で運用範囲は東京−浜松間です。東京口では国府津車に押され気味であまり目立つ存在ではありませんでしたが、老朽化が進んでいたサロ110-0を置き換えるため東海道線東京口ではほとんど動きがなかった57-11改正で他線区で余剰となった車両が改造車として翌1983(昭和58)年以降次々に静岡に転入・配置されることとなり、一転極めて目立つ存在となりました。
 一方、MM'Tcの普通車は80系取替用として新製された0番台後期車グループ(115系300番台に相当)が多数派となっています。
 国鉄最後の改正である61-11改正で11本全車が国府津に転属し、翌年の分割・民営化でJR東日本所属車となりました。

 模型も実車の状況に合わせて115系300番台タイプの0番台後期車が多めの設定となっています。車番は1984(昭和59)年9月30日に行なわれた『国府津運転所EF5861撮影会』で、この撮影会のために運転された団臨(品川→国府津運転所間および国府津運転所→国府津間、国府津からはそのまま846Mへ運用)として充当されたT9・T10編成のものから選んでいます。





 
モハ112-301

 1991(平成3)年に113系2000番台を種車に改造で製作した車両ですが、老朽化が進んだため2018年にモハ114-300の車体を113系用に改造して車体更新を行なった車両です。
 従って動力は旧製品のものをそのまま流用しています。
 車体の改造は些細なもので、側扉の取っ手を撤去する程度であとは塗装のやり直しのみとなります。

 行先幕は製品のままで何も考えずにそのまま湘南色で塗装してしまい、仕上げ時にくろま屋のオハフ50方向幕準備窓用インレタ(品番:206)を転写します。寸法が僅かに異なりますがあまり気にならずに使用出来るかと思います。





 
モハ113-301

 こちらも↑のモハ112-301と同様です。
 妻面の幌が両側とも付いた状態ですが、手持ちの予備品が払底してしまったので2018年分改造車からは幌の撤去および幌枠の追加は省略しています。





 
クハ111-106

 模型は非冷房クハ111の冷房改造がメインとなります。車体関係では側面の行先幕を追加しますが黄かん色で塗り潰して準備工事仕様としています。

 東海道線東京口で唯一のグロベン冷改車で↑の静岡のクハ111-88と同じグループに属する車両ですが、最前部の箱型のベンチレータはAU75系冷房改造時に撤去して通常のタイプに変更しています(これは115系・403系・415系も同様)。そのためクハ111-106の場合はグロベンが4個搭載する形になります。





 
クハ111-171・178・187

 こちらはシールドビーム化されたクハで、クハ111-2000の切継ぎ改造で纏めています。
 基本編成側8号車に組み込む車両はヘッドライトを撤去しますが、遮光板はそのままにしています。





 
クハ111-553・554

 ↑のクハ111-229とほぼ同一の改造で、クハ115-300が種車です。
 基本編成側1号車限定なので運転台側のカプラーは製品のままです。





第4部:グリーン車

 東京駅に姿を見せる113系には必ず2両のグリーン車が連結されています(111系と57-11改正で登場した快速を除く)。55-10改正時点ではサロ110-0・1200番台およびサロ111の3タイプで統一されていたのですが、前述の通りサロ153の改造車で特に老朽化が激しかったサロ110-0を対象に1980年から置換えが始まりました。56-10改正まではサロ110-1200の新製で置換えが行われましたが、東北・上越新幹線開業の57-11改正で特急・急行形電車が大量に余剰となりこれら余剰車両の転活用の一環で113系サロに転用改造車が登場しました。
 1983(昭和58)年にトップを切って登場したのがサロ110-301〜303とサロ110-501で前者は181系から(一部は53-10改正における485系からの改造車)、後者は165系から改造されています。

 模型もほぼ実車と似たような改造を辿ります。
 実在する車両の区分番台を出来るだけ網羅するような車種構成となっています。一部を除き55-10改正〜60-3改正までの範囲をプロトタイプとしており、行先幕を再現していない車両が中心です。
 余談ですが、同じ要領で55-10改正まで見られた関西のサロ110-0も製作可能ですが、こちらは便/洗面所窓中央にあるピラーが撤去されて1枚窓に変更されている車両があるので実車の調査が必要です。

 なお改造時期が比較的古いため改造種車はサロ110-0・サロ111を除いて大部分が旧製品(台車がピン止めまたはビス止めとなっている)となっており、2019年現在発売されている製品とは部品構成が異なる車両が多いです。





 
サロ110-56

 そもそもサロ110とは急行列車の1等車 (現・グリーン車) の座席をフルリクライニングシート車に統一するために、転向クロスシート車であるサロ153の格下げ改造で誕生した形式です。全63両が改造され元急行形らしく車掌室付きで、一部は車体の塗装省略と防蝕を目的として車体をステンレス製とした(ただし、骨組は鋼製)900番台も2両製造されましたが首都圏では見られませんでした。サロ110に対し車掌室なしで製造当初から113系用として登場したのがサロ111です。

 種車としている2012年発売のKATO製111系セットに入っているサロは非冷房車なので改造工程は冷房改造が中心となります。
 当然ながら改造は屋根がメインとなり、冷房はAU13Eを6台搭載します。車体関係では2エンド側の幌を撤去して幌枠を追加する他、車体側面にエッチングパーツで行先幕(準備工事仕様)を追加します。台車はTR59です。





 
サロ110-25

 こちらも↑のサロ110-56と同じ内容ですが、行先幕を白表示にしています。
 KATOの113系から側面サボ部分を切り出して移植しています。小さい部分ではありますが寸法的にかなり難しい改造になります。





 
サロ111-21

 これも↑のサロ110と同じで、行先幕を白表示にしています。

 ↑のサロ110-0およびサロ111全車共通の改造項目として行先幕が追加となったため、サボ受け類の位置が変更されておりエッチングパーツを使用して正規の位置に配置します。また、55-10改正以降の設定であるので製品では表現されているグリーン車の薄緑色の帯は全て省略しています。
 行先幕の位置はサロ110-0・サロ111共通で海側・山側共に一番トイレ寄りの側窓上部です。





 
サロ110-1265

 東海道線東京口および横須賀線グリーン車拡充用として登場したグループで1200番台を名乗ります。サロ110の中で唯一の新製車で、1978年以降に登場した1218〜は同時に登場した普通車2000番台に合わせて便/洗面所窓が小形化されています。定員が少なく首都圏を追われたサロ113の反省から(結局55-10改正で全車首都圏に戻ってきますが・・・)、サロ110-1200では座席を183系・485系1000番台普通車並の簡易リクライニングシートとして定員増を図っています。
 このグループは首都圏に集中配置され東海道線東京口および横須賀・総武快速線用として1981年までに88両が増備されました。

 模型は購入当時はJR仕様で登場した車両で行先幕付近は製品のままです。また、特に切継ぎ等の改造は行なっておらず製品では表現されていないサボ受けおよび汚物循環処理装置の追加のみとなります。サボ受けの位置は左右対称ではなく画像の反対側は戸袋窓の上部になります。
 画像では見えませんが座席パーツに乗務員室部分を仕切るための壁を追加します。





 
サロ110-303

 実車が登場した1983(昭和58)年当時は誰もが予想しなかった特急形電車改造の113系サロです。車体は特急時代のままで屋根高さが他の113系よりも1段低くなっています。実車は53-10改正で九州から上野−新潟間の『とき』に転用するためサロ481→サロ181-1050化改造を受け、その後の57-11改正で上越新幹線開業により181系が全廃となったので余剰となったサロ181-1050番台はサロ110-300に改造されました。

 模型はサロ481(2005年発売の現行製品)を種車とし、2エンド側のトイレ・洗面所部分を撤去し183系から捻出した側扉を切継いでから行先サボ・号車札・急行札用のサボ受けを追加します。行先幕ですが実車の登場時は使用しておらず、窓は生かされていましたが幕は入っていませんでした。そのため模型では製品のままとしています。
 サボ受けの位置ですが左右対称ではなく、画像の反対側は増設された側扉側に号車札・急行札受けと共に追加します。

 側窓は固定式ですが、片側2箇所ずつ上部が開口可能な構造に改造されているので、銀テープを貼って表現しています。
 また妻面にある車端ダンパーは全て撤去し、フラットに仕上げます。冷房はキノコ形のAU12を取り付けますが、ねずみ色1号で塗装しています。

 床下関連では台車はスナップ方式のままですが、他車と連結可能にするためTN密連ボディマウントタイプに換装しています。





 
サロ110-354

 こちらはサロ110-300よりもやや遅れて1983年夏に登場したサロ489改造の350番台です。57-11改正で上野−金沢間の『白山』の編成が2サロ→1サロ+食堂車に変更となったため余剰となったサロ489-0が改造されて誕生しました。


 模型は1981年発売のサロ481(旧製品)を種車にしており、改造工程は↑のサロ110-303とほぼ同じですが行先幕は白表示とし(実車は白いガラス?で塞がれた状態)、実車に合わせて屋根を塗屋根に変更します。また、旧製品であり汚物循環処理装置のモールドがないので銀河の汚物循環処理装置(N-058:バルブ左)を取付けますが(画像では台車のカプラー部分に隠れて見えていません)、特急形車両で裾が絞り込まれているので取付け位置に難があり、台車の首振り角度を確保する関係で若干車体裾よりも外に飛び出す形となります。
 冷房はAU12ですが、こちらは実車に合わせて銀色としています。

 ↑のサロ110-303とは外観が酷似していながら車体構造・部品構成は大幅に異なり部品の互換性はありません。





サロ110-357

 この車両も↑のサロ110-354と同時期に登場した車両で、サロ489の改造車です。1983年に登場したサロ110-351〜358のうち最後の357・358の2両のみ冷房装置がAU13×5台となっています。

 模型は余剰となっていたサロ481(2005年発売の現行品)を種車にしており、改造工程は上記の2両と同じですがグリーンマークの位置は1984年当時の実車に合わせています。屋根は特に弄っておらず自家調合のグレーによる塗装仕上げです。
 行先幕は↑のサロ110-354と同様に白で塗り潰し、AU13および通風器はねずみ色1号に変更します。





 サロ110-401

 こちらは60-3改正で登場したサロ165改造の400番台で、ユニット窓となっています。

 模型はサロ165旧製品の改造です。まぁ外観の変化が比較的少ない割にはとてつもない大改造を強いられる車両で、側窓のRを撤去して四角い窓にしてからt=0.3程度のプラシートを四辺に貼って窓の寸法を縮小します。プラパテで下地を仕上げた後に側窓のユニットサッシ化で全て削り取ってしまったサボ受け類をエッチングパーツで表現し、塗装でユニットサッシ枠を表現してから車体全体を湘南色で塗装します。
 行先幕は改造当時はJR仕様で落成させたので行先が入っている状態です。この行先幕がらみの注意点ですが、組立時車体に屋根を嵌め込む際に車体側に追加した行先幕と屋根が思いっきり干渉するので、屋根についているフランジ部(遮光用なのか補強用なのか?)の一部を除去して逃げを作っておきます。行先幕の位置は両側面共元回送運転台側となります。

 窓ガラスは現物合わせで四辺を鉄ヤスリで削って寸法を縮小し、銀テープでサッシを表現します。屋根ですが、実車は新製当初から冷房車だった165系後期形グループに属するので屋根も大改造となり屋根の全てのモールドを撤去して平滑にしてから冷房およびベンチレータを配置しますが冷房はAU13×5台となります。また簡易運転台側屋根上にある砲弾型のヘッドライトは削り取り、適当なプラ片で取付座の跡を表現します。

 サロ110-401ですが最近ではサロ165ユニットサッシ車エッチングキットとして発売されていますが、サロ165を含めて未だにこのタイプがプラ製完成品として製品化されていないのが何とも不思議です・・・実車ですが、外観的にはサロ112の再来といったところですがサロ110-401登場時点でサロ112は既に廃形式となっていたのでサロ112として名乗れず、他形式からの改造車ということでサロ110に編入したようです。





 
サロ110-501

 こちらはサハ165の改造車で模型ではモハ153の車体とサロ165の座席・床下およびTR69台車の組み合わせで纏めています。165系旧製品と同じ部品構成となります。
 車体関係では両妻板にあるダクトを全て撤去し1エンド側の妻窓を1箇所増設します。側面は各種サボ受けおよび行先幕を追加しますが行先サボは白表示としています。グリーンマークは側扉と側窓/便・洗面所窓の間に表示するので小形のものを転写します。

 見た目ではあまり気付かない部分ですが、屋根はモハ153とよく似ていますが冷房・ベンチレータの配置が異なり、流用出来るものがありません。ワタシは『改造工数を低減できる&余剰部品の有効転活用』という観点からサハシ153のものを使用しており、屋根にある全てのモールドを撤去し平滑に仕上げてから冷房・ベンチレータを配置します。
 この車両も↑のサロ110-401と同様、組み立てる際に増設した行先幕と屋根が干渉するので屋根側に切込みを設けて逃げを作っておきます。

 座席は本当はシートピッチがほぼ同じ181系普通車(旧製品)の座席を流用すればベター・・・と思いがちですが、急行形のモハは車体側に合わせて1エンド側のデッキ部分の床は1段低くなっており(妻部の貫通扉が無く外から床が丸見えなのでので部品構成上そうせざるを得ない)、181系用予備品の在庫もなかったのでとりあえずサロ165用とモハ164用のデッキ部分を切継いでいます。乗務員室を仕切る壁がモールドされていますがサロ110-501には無いので撤去して座席を1列分追加します。したがって実車同様、座席と窓のピッチが揃いません。
 改造は1994(平成6)年で老朽化が目立ってきたので2012年に塗装全剥離・車体補修を中心とする徹底した更新工事を行なっています。


 実車はあまり例がない急行形普通座席車のグリーン車格上げ近郊格下げ改造車(???)です。乗務員室が無いので事実上サロ111と同然ですが、こちらも他形式からの改造車なのでサロ110に編入したようです。





 
サロ124-16

 唯一完全JR仕様のサロで、実車は老朽化が進んでいたサロ110置換え用として89-3改正で登場した平成生まれの2階建てグリーン車です。

 模型はサロ212の車番を変更して113系に編入させた車両で、台車はアーノルド仕様(ただしTN密連化されている)のTR235に変更しています。TR69を履かせると初期車(1〜8)にもなります。
 またサロ213を種車にすると番号の変更のみでサロ125になります。

 一番手間のかからない車両です。



 113系の改造も楽ぢゃないです・・・


 改造グリーン車あれこれ

 模型のページ後半恒例?の改造車コーナーですが今回はグリーン車です。
 KATO・TOMIXとも90年代当時グリーン車でリリースされていたのはサロ110-1200番台の1形式だけで、編成を組んでも非常につまらないのでとりあえず改造で作ってみました。

 ↑の真横からの形式写真では見えない部分を中心に画像を多用して述べてみようと思います。

↓ サロ110-0・サロ111 (行先幕白表示) ↓ サロ110-0・サロ111 (行先幕準備工事仕様)
↓ サロ110-1200番台 (2エンド/海側) ↓ サロ110-1200番台 (1エンド/山側)
↓ サロ110-300・350番台 (1エンド/山側) ↓ サロ110-300・350番台 (2エンド/海側)
↓ サロ110-501 (2エンド側) ↓ サロ110-501 (1エンド側)
↓ サロ110-401 (2エンド/海側) ↓ サロ110-401・501の屋根
↓ サロ110-501改造の詳細






〜最後に〜

 東海道線東京口の113系ですが、57-11改正あたりまでは上野口の115系と同様、模型的な観点からは画一的で見ていてもなんとなくつまらないという印象を持っていたのですが、57-11改正の翌年の1983(昭和58)年からはグリーン車を中心に改造車が多数出現するようになり、編成ごとの個性が出てきて一転複雑なものに変貌してしまいました。実車は60-3改正以降は普通車にも改造車が出てきて更に複雑化するわけですが、模型では57-11改正〜60-3改正時点での車種構成を中心に一部JR仕様車も加えながら車種のバラエティを楽しめる構成にしています。
 ということでプロトタイプにする実車は改造車が中心で当然ながら車両数はそう多くなく、模型化に際しての実車調査は困難を極めました。現在では実車は全て引退しており車両調査が更に難しくなっています。改造車の宿命として同一形式・区分番台でも外観は全車とも同一とは限らないので(判り易い例としてサロ110-300番台は種車形式の違いにより3タイプが存在する)、模型化の際は時代検証・実車調査を十分に行なってから改造作業に入る事をおすすめします。


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