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113系(横須賀色 : 横須賀・総武快速線)

 青15号とクリーム1号のツートンカラーで知られる横須賀色はそれまで横須賀線の主力であった32系の置換え用として1951(昭和26)年に登場した70系電車で初めて採用されました。登場当初は青2号/クリーム2号の塗り分けでしたが、後に青15号/クリーム1号に変更され、1963(昭和38)に登場した113系に引き継がれました。
 横須賀線の全面113系化はよん・さん・とう(1968年10月1日施行の全国ダイヤ白紙改正)を目前に控えた1968(昭和43)年7月です。翌1969年にはR窓仕様の113系1000番台が、1973年にはユニット窓仕様の1000番台後期形が登場し一気に横須賀線の主力となりました。55-10改正では東海道線のMS分離が行なわれ、それまで東海道線・横須賀線で線路を共用していた東京〜大船間の完全分離を実施(同時に新川崎・東戸塚の2駅が開業)されて横須賀線品川〜横浜間は品鶴線経由となり同時に品川駅において横須賀線と同じ113系1000番台で固められていた総武快速線とのドッキングが実現し直通運転が行なわれるようになり現在に至っています。
 1985(昭和60)年末に東海道線に211系が登場しましたが、横須賀・総武快速線の113系はまだ車齢が浅かった事もあり211系置換えの対象からは外されましたが、民営化後の1994(平成6)年に113系置換え用としてE217系が登場し徐々に置き換えが行なわれて1999(平成11)年に113系は撤退しています。

 模型は1970年代から既にTOMIXで1000番台ATC仕様車が発売されていました。室内灯取付け不可の初期製品で(1980年秋にマイナーチェンジされ室内灯対応化およびモハ112非動力車の追加、更に1982年頃に窓ガラスが設計変更される)、当時市場に出ていた国鉄近郊形はこの他に1000番台の金型をそっくり流用した113系湘南色と415系(クハ411はクハ111-1000の色違い品)とグリーンマックス製の111系完成品(通称:111系グリ完)だけという状態が長く続きましたが、1984(昭和59)年秋にKATOと思いっきり競合する形で113系1500番台が2社同時リリース (同じく両社同時一斉発売で113系2000番台湘南色・115系1000番台スカ色と湘南色1000番台、KATOのみ2000番台が先行発売および415系100番台交直流標準色/常磐色) されました。当時は2社で国鉄近郊形3系列各色一斉発売は店頭に並ぶ製品数が一挙に無駄に増えるだけで模型業界の発展には繋がらないという理由であまり歓迎されなかったようですが・・・

 実車でスカ色オール1500番台の編成は千マリに2編成ほど存在していただけでした。ウチのスカ色113系も1991(平成3)年の登場当初は1500番台オンリーで纏めていたのですが、やはり画一的な編成は面白くない、と言う事で結局1000番台後期形を登場させる改造に踏み切りました。
 改造種車はサロ113を除き全てKATO製で改造は1991(平成3)年〜2020(令和2)年です。




 まずは各車の形式写真から



§1. 普通座席車



 1972(昭和47)年に登場した1000番台後期車が多数派で、53-10改正時点ではR窓初期車は僅かに残っている程度でしたが1979(昭和54)年に登場した1500番台により置換えが進められ、MS分離が行なわれる55-10改正までに普通車は全て1000番台後期車および1500番台に統一されて初期車は全て国府津区に転出しました。また、55-10改正時点で1000番台に僅かに残っていた冷房準備車ですが、こちらも冷房改造が進められ1983(昭和58)年までに完了し、東海道線よりも先に横須賀・総武快速線の100%冷房化が完了しています。

 模型は55-10改正以降をプロトタイプとしており、非冷房車および冷房準備車は在籍していないので屋根については特に手を加えていません。




 
モハ112-1508

 モハ112-2000番台湘南色をスカ色に色替したもので動力車です。
 車体・屋根は弄っておらず塗装変更のみとなります。また、1500番台なのでサボ受けも不要です。





 
モハ113-1508

 こちらも↑のモハ112と同様、塗装変更するのみに留まっています。





 
モハ112-1176・1211

 113系1000番台後期形のM'車で2019年発売の湘南色モハ112後期形が種車です。1000番台後期車なのでサボ受けのモールドは削り取ります。
 同じKATOのモハ114-300も一見使えそうな感じですが、こちらは横サボが旧国鉄時代の準備工事仕様となっておりくり抜かれていないので、横須賀・総武快速線用として使うには少々難があります。





 
モハ113-1176・1211

 こちらもモハ113湘南色を種車に選んでいます。↑のモハ112と同様、サボ受けのモールドは削り取ります。

 ↑の各車と同様、種車が元々113系ということもあり大幅な改造は免れています。







 
クハ111-1503

 クハ111-1500番台のTc車で、東京駅基準で津田沼方面向きのクハです。
 模型は1991年増備の車両で、車体は特に弄ってはおらず他の改造車に合わせて再塗装を行なっている程度に留めています。

 製品は生粋のクハ111ATC車で、最近のリリースでは実車に合わせてなのかクハ111はスカ色ながら2000番台タイプに移行しており、クハ111ATC車は入手困難になっています。








 
クハ111-1603

 こちらは東京駅基準で大船側のクハで、トイレ付きとなっています。
 
 横須賀・総武快速線用113系は錦糸町〜東京〜品川間の地下線走行に備えて1000・1500番台ともトイレ付きの車両は新製時より汚物循環処理装置付が標準なので、床下に汚物循環処理装置(銀河製)を取り付けます。また国府津の113系と同様に基本・付属編成連結時の15連ではクハの貫通路を使用しないため先頭部に幌は付きません。

 ↑のクハ111の2両だけは1991(平成3)年製作時のままで以降ほとんど弄っておらず、ナンバーインレタは現行品とは異なる現在よりも少し大きめのものが付いています。この方が見やすいのですが・・・
 クハは汚物循環処理装置の取付以外特に改造を行なっていませんが、当初より他車に合わせた再塗装を行なっています。





 
サハ111-1026

 この車両だけ113系で改造種車に出来る製品がなく、やむを得ずサハ115-300を選んでいます。
 サハ115-300の改造なので、横サボ追加およびサボ受けおよび側扉の取っ手撤去が改造の中心となります。




§2. グリーン車


 元来横須賀線のサロ110・111は東海道線と同様の0番台および0番台に難燃化対策を施工した改造1000番台が充てられてきましたが、55-10改正で総武快速線とドッキングした事に伴ない全車が難燃化対策仕様のサロ110-1000・1200およびサロ111-1000およびサロ113の4タイプに統一されることになり、不足分としてサロ110-1200が大量に増備されました。
 しかし、国鉄末期の頃になると今度はサロ110・111-0番台改造の同1000番台の老朽化が目立ってきたため、東海道線に続いて今度は60-3改正で余剰となったサロ183・481・489からの改造車が登場しました。

 したがって東海道線と同様、サロだけはバリエーションが多くなっています。





 
サロ110-1243

 前述のように55-10改正において横須賀線のみならず総武快速線にもサロが連結されることになったため同改正にて大量増備されました。
 1200番台のサロは113系1000番台後期形と共に増備された初期形(1201〜1217)と、1500・2000番台と共に増備された後期形(1218〜1288)があり、トイレ・洗面所付近の窓がそれぞれ異なります。

 模型は湘南色だったものをスカ色に色替した車両で、側面のサボ受けはありません(因みにKATO製113系2000番台・115系1000番台・415系100番台等のサボ受けは1984年発売の初期製品では表現されておらず湘南色の場合は私が改造で追加している)。
 後期形なので、トイレ・洗面所の窓は横長の形状となっています。






 
サロ111-1009

 サロ111-0に難燃化対策を施工した車両です。
 模型も湘南色サロ111-0が種車で、横サボの追加および冷房改造を行なっています。





 
サロ110-1355

 こちらは1986(昭和61)年に登場した特急形サロの改造車です。
 模型はサロ481(2005年発売の現行品)が種車で改造内容は湘南色の場合と同様、側扉の増設・油圧ダンパーの撤去・側扉のステップ撤去が中心になります。





 
サロ113-1015

 サロ111以来の新製サロとなった形式で、サービス改善のためシートピッチを拡大し特急・急行形サロ並みのフルリクライニングシートを装備した車両です。
 当初は大船区に配属され横須賀線にて使用されましたが特ロ並みの座席はやはり座席定員減少を招き、乗客からは非常に不評だったため以降の増備は座席定員を増加させたサロ110-1200に移り、サロ113は関西地区に転出しました。
 55-10改正では総武快速線のグリーン車営業開始と同時に関西地区では113系快速のグリーン車営業が廃止されたため、同改正で再び横須賀線に戻ってきました。

 模型はこの車両のみTOMIX製で湘南色の製品(2013年発売の関西快速8両編成セットのもの)を色替したものです。
 車体は片側の貫通扉の幌を撤去したのみで他は手を加えておらず、あとはスカ色への塗装のみとなります。



 スカ色の113系もサロの改造が中心になります



 湘南色に続いてスカ色改造あれこれ


 湘南色113系のページと同じになりますがスカ色113系のページでもグリーン車を中心に採り上げようと思います。
 KATO・TOMIXとも90年代当時グリーン車でリリースされていたのは湘南色と同様サロ110-1200番台一択で、バリエーションを増やすべく改造車を登場させました。

 ここでも↑の真横からの形式写真では見えない部分を中心に画像で述べてみようと思います。改造は湘南色と共通項目が多い(同じ113系なので当たり前ですが・・・)ので、スカ色で新規に出てきた部分を中心に述べています。

↓ サロ111 (海側) ↓ サロ110-1350番台 (1エンド/山側)
↓ サロ110-1200(車掌室側) ↓ モハ112-1000
↓ サハ111-1000 (海側)



〜最後に〜

 横須賀・総武快速線の113系ですが、東海道線用の地上形113系と同族でありながらA-A基準を満たしている地下線仕様のため外観・仕様や車種構成に若干の差異があり、いかに地上形と差別化するかが最大のポイントとなります。塗装が最大の相違点ですが、トイレ付きの車両は汚物循環処理装置装備が標準であるのと、55-10改正以降はほぼ全車が行先幕を使用していることが東海道線の113系と異なる部分です。旧国鉄時代では数少ない100%冷房化を達成した線区の車両なので、模型化にあたっては屋根の改造の工程が不要になるのも好都合といえます。


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